本を読めば、先達の歩いた道を、駆け足で駆け抜けられるのに、 私たちは、なかなか、本を読まない。 (1) 跳び箱指導 斎藤喜博 先生のあと、向山洋一 先生が、 『跳び箱は誰でも跳ばせられる』 1982/3/1 28版 http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?ban…257112%2D6 を書いているので、 「跳び箱指導」 はどの先生でもできて当然のはずだが、現実はそうではない。 (2) 特別支援教育 (障害児教育) わたしも、『向山洋一は障害児教育にどう取り組んだか』 2000/11/1 9版 http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?ban…037314%2D9 を読むまで、 『石に咲く花』 田村 一二 著 教育図書 1942年、のち北大路書房から 1989年 を知らなかった。 http://www.7andy.jp/books/search_result/-/writer/%E…F%E8%91%97 http://kenguwaraku.cocolog-nifty.com/1212/2005/05/p…_edc3.html 昭和18年から20年に書かれたものです。(つまり戦前です。) 勘吉は下の文章中では、特別学級の小学1年生 -------------- ここから ----------------- 「メという字はな、こう書くんだ、いいか」 十ぺんくらい手を持って書かせてみて、 どうやら筆順を覚えた。しまいには、  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(下線 Rimbaud) 三平の手が、ほんの形だけ添えられているだけであるのに、勘吉の手は自分の力で、 鉛筆をその方向に動かそうとした。 今度は、黒板の前へつれて行って、チョークを持たせ、大きな「メ」の字をいくつもいくつも 手を持って書かせた。そうして、はっきりと筆順を覚え込ませた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(下線 Rimbaud) 次に黒板に、うすくメの字を書いた上を、なでさせた。勘吉はふうふう言いながら  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(下線 Rimbaud) 鼻の頭に汗をいっぱいかいて、先生の書いた線から逸れぬように注意して書いた。初 めの問は何度も脱線したが、それでも、十何べんもやっているうちには、どうやら大体 線の上をなでられるようになった。 次は、ノートに青鉛筆で「メメメ……」と、いっぱいメの字をうすく書いてやった。 その上から鉛筆でなでさせるのである。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(下線 Rimbaud) この方は案外早く上手に書くようになった。 --こいつ、手先はわりに器用だな -- と、三平は見てとった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(下線 Rimbaud) -------------- ここまで ----------------- 勘吉が、「手先はわりに器用だな」 となっていなければ、 チョークや鉛筆をもたせないで、「文字指導を行う」 のが現代の常識である。 (微細運動 (fine motor) 障害 への配慮) しかし、それにしても、戦前に、すでに、これだけのことを、自分で考えて 指導していたことに驚かざるを得ない。 そして、活字として後世に残してくれたことに。 (3) 「あかねこ漢字スキル」 光村教育図書 http://www.mitsumura-kyouiku.co.jp/shohin/shogaku/0…dex_a6.htm は、 ① 指書き ② なぞり書き ③ 写し書き を明確にシステム化した、漢字ワークだ。 AD/HD、LD、高機能自閉症、アスペルガー症候群…のお子さんには、 指先の不器用な(微細運動障害)ことが多い。 鉛筆を持って、何回も何回も、小さなマス目の中に漢字を書いて覚えるというのは、 指先の不器用な(微細運動障害)子どもには、虐待のようなものだ。 だから、鉛筆を持たずに、「指書き」 で何回も書いて覚えるのである。 |