住民の郊外への流出により少子高齢化の進む姫路城南地区では、姫路城下町街づくり協議会と兵庫県立大学環境人間学部福島ゼミグループとが共同で、街づくりを考え、議論する場として、「城下町街づくり塾」を開催し、昨年末、城南校区の住民を対象に生活環境に関するアンケート調査を実施し、先週末、福島ゼミの学生さんたちによる発表が行われました。そのアンケート調査の考察の中で改善すべき点として「高齢者が住みやすい環境が整っていましたが、最も大きな問題として「気軽に立ち寄れる憩い・交流の場が不十分」という結果が導かれ 福島ゼミグループでは、気軽に立ち寄れるポケットパークの設置を提言していただきました。
現在、城南地区の住民が「憩い・交流の場」として挙げたのは、城南公民館・城南公園・十二所神社などといった施設で、これらの施設では、特に目的もないのに気軽に立ち寄れる場所ではありません。その点、ポケットパークと呼ばれるベンチ等を置いた小さなスペースを設置する事は、校区というよりは町内のコミュニケーションをとるためには有効と思われ、町内にデッドスペースがあれば、比較的安価に設置が可能と思われる反面、天候や時間帯が限定されるという欠点もあります。英国で、こういった気楽に行ける「憩い・交流の場」となっているのがパブと呼ばれる施設です。
日本ではPUBを単なる居酒屋と解釈している人が多いのですが、PUBというのは「開かれた家」という意味のPUBLIC HOUSEの事で、安価にお酒や食事を楽しめる代わりに、サービスはほとんどなく、営業時間は夜10時までと厳格に定められています。日本における居酒屋にあたる店は、NIGHT CLUBと呼ばれ、営業時間にも制限がなく、サービスも受けられますが、こういったNIGHT CLUBは日本と同じくらい、お金がかかります。
パブにも様々な形がありますが、大型のパブの二階は、カウンターを備えた多目的ホールとなっており、地域主催のダンスパーティーや結婚パーティーなども行うことができます。また、簡単な食事を提供するパブも多く、特にランチタイムは学生や労働者の姿をよく見かけます。私がよく通っていたロンドン南部にあるLAMBETH地域は低所得の独身層や高齢者が多く、簡単なディナーも提供していました。また店内には、ダーツやビリヤードなどが設置してあり、最近ではカラオケを置いているパブも多いと聞き,
若者から壮年まで幅広い年齢の人々が集まります。そして英国では、パブで政治が作られるというほど、人々は政治について語り合います。
実は、地域再生について必要な「憩いの場」というのは、昼間しか使えず、アルコールや食事もできない既存の公民館のようなものではなく、安価に適当にお酒が飲めて、一人暮らしの人々がお弁当を持ち込んだりできる英国パブのような施設ではないでしょうか。
こういった英国パブのようなコミュニティーセンターを、地域がNPO法人として運営し、おばあちゃんたちにお惣菜を作ってもらい、お茶やお酒を売る。ただし10時には閉店。できたら二階に会議等ができるスペースや子供たちを預かるスペースなどが併用できたらと考えています。