『残したい日本の音風景100選―大切にしたい身近なサウンドスケープ』(実業之日本社)を読みました。
先日、ツリーハウスで手に入れた古本です。1997年4月に刊行された本のようです。ビジュアルな風景でなく、音に着目したところが私の興味を惹きました。全国各地で人々が地域のシンボルとして大切にし、将来に残したいと願っている「音風景」を公募し、その中から選ばれた「音風景」が収められています。北は北海道「オホーツク海の流氷」(キュー、グー、クゥー、キュー、グー、クゥー……)、南は沖縄県与那城町の「エイサー」(エイサー、エイサー、スリエイサー。 ドンドン、ドドン)まで日本の音風景検討会が選んだ100の音風景。その音が聞ける場所がカラー写真入りで紹介してあるガイドブックです。もちろん「灘のけんか祭り」も選ばれています。
いつかは行きたい、音を聴きながらじっと風景を味わいたいと思ったところがたくさんあります。中でも特にイイと思ったのは
- 北海道鶴居村「鶴居のタンチョウサンクチュアリ」(クワン、クワン…、クックルー、クックルー)
鶴の美しい姿よ永遠にと願わずにはいられません。 - 千葉県佐原市「樋橋の落水」(じゃあ、じゃあ、じゃあ、じゃあ、じゃーあ)
小野川ぞいの旧い街並みと、伊能忠敬旧宅前にかかる通称「じゃあじゃあ橋」。 - 新潟県能生町「尾山のヒメハルゼミ」(ウェーン、ウェーン。 ザーッ、ザーッ、ザーッ、)
ヒメハルゼミの蝉しぐれは「音頭取り」と呼ばれる雄に合わせていっせいに鳴いたり鳴きやんだりするらしい。 - 広島県尾道市「千光寺驚音楼の鐘」(ご~ん、ご~ん。 ご~ん、ごーん)
毎夕6時に鳴り響く鐘。瀬戸内の夕景色にしみじみ合うのだろうなぁ。 - 愛媛県松山市「道後温泉振鷺閣の刻太鼓」(どどん どん どん、 どどん どん どん)
午前6時半に鳴る太鼓と同時に道後温泉本館の朝湯に浸かり、「昨夜はよく飲んだな」と二番町のバー露口のマティーニを想う。さっぱりした後は道後公園をぶらぶら散歩。ベンチに腰掛け漱石「草枕」を読む。いいなぁ。 - 熊本県矢部町「通潤橋の放水」(コツコツコツコツ…… ザァーッ ドドーォッ)
佐原市の「樋橋」もそうだが、橋から水が溢れるってのは、いいなぁ。