エクリチュールとしてのコトバなしには、何ものも存在しない。
だから、本来は空しいものと知りつつも、人は書く。
そして書かれたものを人は読む。
どこまでも、彼は「暗号文字」を書き続け、
「暗号文字」を読み続けていかなければならない。
世界を存在にまでもたらすために。
有意味性(の幻想)に生きるために。
やがて、根源的解読不可能性の限界につき当たるまで。
「意味の深みへ」井筒俊彦より
◎用語解説
- エクリチュールécriture:(仏)文字、書かれたもの、書き言葉、文体、書く行為。話し言葉に対して、書き言葉の特質に注目したさいに用いられる用語。西欧の理性・合理性中心主義を解体(ジャック・デリダ)本質的に死を含む言語活動(モーリス・ブランショ)快楽の知的媒介(ロラン・バルト)
- 根源的解読不可能性illisibilitr' radicale:「解読不可能なエクリチュールのなかで自らを告知する存在が、自らを書きながら、しかも自らの名の彼方にある」デリダ