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2012年04月29日(日) 

「損するのが分かってても、出さなきゃいけない本て多いでしょう。本屋って、たまたま損するわけじゃあないのよ。本屋が稼ぐっていうのは、売れない本のため。ね、社員のためじゃないの。一億人ったら、《ああ、これだけ損が出来る》と思うのが、本屋さんなの」

                                (本書P99より)

 

 

『朝霧』(北村薫・著/創元推理文庫)を読みました。

 

まずは裏表紙の紹介文を引きます。


前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな抒情詩を奏でていく中で、巡りあわせの妙に打たれ暫し呆然とする「私」。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれてきた糸の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。


 

主人公〈私〉も社会人になっちゃったのか。なぜかこの娘が大人になっていくのが切ない。娘の成長を見守る父の気分になってしまっている。成長を応援したい。恋もして欲しい。しかし、それを思うとちょっと切ないのが親父の気持ちだ。今作は「恋」がテーマ。もし、次作が上梓されるならば、主人公の恋の行方が描かれるのだろう。読みたい気持ちと読みたくない気持ちが相半ばしてせめぎ合っている。いつか〈私〉が「虎」を指さしたくなるほどの恋をするのかも知れないと思うと、胸が張り裂けそうになる。親父の気持ちは切なく複雑だ。

 

 

 

 


閲覧数442 カテゴリ コメント0 投稿日時2012/04/29 00:44
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