大江 「30年小説を書いてきたから、そろそろ締めくくる方向に行きたいと思います。」
安部 「僕はこれからますます方向のない小説を書きたい。書くものの意味が事前には分かっていないものを。」
大江 「書く作業の中に、書き手の意識を超えるものはあるんでしょうか。」
安部 「ありますね。作品自体に存在する力があれば、意味なんて放棄してもいい。」
1990.12.16朝日新聞文化欄
「対談 安部公房 大江健三郎」より