作品は原則として、

既に存在する諸規則によって支配されてはおらず、

その作品に対して既知のカテゴリーを適用することによる

規定的判断によっては判断されえない。

どのようにして一つの文を完成させる途中で完成させないことができるのか。

どのようにしてこの結び目を解いているあいだに結びつけることができるのか。

今のはこじつけですね。

本当は理由などないのです。

白川英樹　化学者

数学者なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、

スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、

そのことが春の野にどのような影響があろうと、

スミレのあずかり知らぬことだと答えて来

大江　「３０年小説を書いてきたから、そろそろ締めくくる方向に行きたいと思います。」

安部　「僕はこれからますます方向のない小説を書きたい。書くものの意味が事前には分かっていないものを。」

大江　「書く作業の中に、書き手の意識を超えるものはあるんでしょうか。」

安部　「ありますね。作品自体に存在する力があれば、意味なんて放棄してもいい。