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2011年11月24日(木) 

 

のどこが好きですか?」

高校生の女の子の何げない質問に、おばあちゃんが語気を荒げる。

「好きっちゅうことはないけん。ばあちゃんたちの一生の仕事だから。山があるから、そして種を切らさんためにしていくとよ。好きでやっとるとじゃないですよ。生きていくために、ずっと」
そして、戸惑う女の子に優しくさとす。
「みんなそうだからね。植物、動物は全部、生きていて、子孫残すために、ちゃんと世渡りを何十年でも、何百年でも、何千年でも、自然とね」

                                         映画「森聴き」公式HPより

 

 

 あの焼畑のお婆ちゃん。信念でもなく信仰でもなく、かといって習慣でもない。生成変化する環境世界に寄り添って、流転するものとして共に有ろうとして生きてきただけのように私には見える。ただのリアリストなんだな。つまり本当のリアリストだ。 決して理想主義者じゃないし科学や思想みたいな体系的思考の緻密そうに見えるおおざっぱさや普遍ぽく見える偏屈さは微塵もない。また文脈的イメージにたよって差異とその変化から目をそむけることもない。徹底して自然を「変化」として見ている。

 今・ここを中心に茫洋と広がる時間。そこには過去も未来もあるにはあるが、過去も未来もこの「いま」を中心に回っている。 まさに“ただ生きてる”だけなのに、身を賭して生成と格闘し戯れる人間のなんという力強さ。 あのお婆ちゃんは「自然に還れ」なんて言ってない。そんな自然なんてやっぱりイメージだ。還るまでもなく僕らは“自然”なんだ。生まれて生きて死ぬだけ。なんの過不足もない。

 

閲覧数480 カテゴリ★ポロリ・タラリ・ピロリズム  連載中! 投稿日時2011/11/24 20:01
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chronosさん
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