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立石駅周辺再開発と防災まちづくり、葛飾区役所庁舎建替えを考える - トピック返信
2017年09月19日 12:03
9.13葛飾区庁舎建替え計画反対!区民集会

       基 調 報 告
 
さる7月、葛飾区は「新庁舎整備基本計画」を発表しました。

現在の庁舎をすべて壊し、立石駅北口に地上13階・高さ約80m 、通常のマンションの約20階相当の超高層のビルとして建て替え ようという計画です。

立石駅北口地区には再開発計画があります。東京ドーム面積の約半分の2・2ヘクタールの範囲で歴史ある街並みを取り壊し、そこに超高層ビルを2棟建てようという計画です。うち1棟は36階建て、高さ125mのタワーマンション、そしてもう1棟の3階から上を区役所、上層階を議会にしようというものです。

 お手元の資料に再開発の図がありますが、そのうちの東街区に建てられるビルが区庁舎です。実は区は、区庁舎整備の必要を言い出した最初から、この立石駅前に移転することを目的としていました。そのことはのちほど触れます。この立石駅北口に区庁舎を移転する計画にかかる費用は、区の説明で264億円、わたしたちは500億円ほどになるのではないかと想定しています。まさに巨額の事業です。

 なぜ建替えるのか。区はこれまでの説明で、建物の老朽化で耐震性能が低く災害対策機能が果たせない、スペースが狭く満足な区民サービスができない、などを理由に挙げています。現庁舎の本館と議会棟は築55年、新館が39年です。本館は古いといえるでしょうが、新館はまだ39年です。しかも本館と議会棟は阪神大震災以降に耐震補強を行っており、新館もあわせて国の区庁舎に求める耐震基準は満たしています。この基準とは、大地震で大きな補修をしなくても建物を使用できる、というものです。しかし区はそれでも不安だと、最高度の耐震性能を目指して建替える、というわけです。しかしこれは国から求められていることでも何でもないことは、先日私たちが出した質問状に対する庁舎整備担当課長の回答に書いています(資料参照)。限られた予算のなかで、今でも十分に耐震性能のある区役所なのに、これは贅沢な話といわねばなりません。

 区庁舎は今すぐ建替える必要はありません。それでも老朽化を食い止め、耐震性能を向上させ、また使い勝手を良くしたいというのなら、私たちは現庁舎の改修で十分と考えます。

 実は本日この集会に、世田谷区役所と市民会館を建て替えでなく改修で、と世田谷区に要請し運動を続けておられる日本建築家協会世田谷地域会の代表と事務局長の方がお見えになっています。世田谷区役所と市民会館は、世界的にも有名な建築家の前川國男がデザインされた建物で、文化的な価値のある建物です。それを壊さず、外観のデザインはそのままに大幅にリニューアルするスケルトン工法での改修を提案しています。のちほどお話いただきます。私たちは区の立石北口移転、建替え計画は反対しますが、ただ反対というのでなく、それに代わる対案としての改修を、世田谷の運動に学びながら考えていくことも必要ではないかと考えています。加えて言えば、そのような改修で区庁舎をリニューアルしたのが江東区と荒川区です。免震構造を備えての改修ですが、それでも両区とも20億円以下で完成させています。

はるかに安い改修で済むところを、数百億円も使って新たに建替える、これは巨額の無駄遣いではないでしょうか。そのようなお金があるのなら、私たちは区内の小中学校や児童・保育施設の建替えこそ優先して行うべきと考えます。小中学校のほとんどが区役所新館よりも古く、本館より古い校舎もまだ10校あります。資料をご覧ください。学校の古さがよくわかります。また児童・保育施設の老朽化も深刻です。建替えはまずこれらを優先すべきと考えます。とくに学校は大災害時の避難所となり、地域防災拠点ともなるところです。ところが多くの学校は体育館が1階にあり、水害時は水浸しとなって避難所となりえません。災害から子どもたちを守り、地域住民を守るためにも小中学校はできるだけ早く全校建替え、または改修すべきと考えます。また区は児童館を全廃する計画のようですが、区庁舎建替えにはムダに税金を使って、なぜ子どもたちの施設はなくすのか。人々の生活や子どもたちの教育環境の充実を第一に進めることこそ区政であり、区の姿勢は本末転倒と言わざるを得ません。

今すぐ建替える必要もないにもかかわらず、ほかの必要な施策を後回しにしてまでなぜ区は「建替え」にこだわり、「立石駅北口」にこだわるのか。それは本当の目的が、立石駅北口再開発事業を後押しすることにあるからです。

立石駅北口再開発計画は、区の主導で20年前から始まりました。 当初から地権者の中に反対者が多く議論はまとまらない中で、平成19年、賛成派地権者が「再開発準備組合」をこれも区のテコ入れで作りました。作った早々の翌平成20年3月に準備組合は、「 立石駅北口地区再開発事業への区庁舎建設を求める要望書」を当時の青木勇区長に提出しているのです。

資料に、区が示した庁舎整備の経緯の年表があります。区が庁舎整備基金条例を制定したのが平成20年2月となっていますが、その翌月3月に提出しているわけです。区が作ったこの表には書いていませんが、これは事実です。

区庁舎整備計画は、まさにこの要望と同時に検討が開始されているのです。

再開発事業が破綻しないように、うまくいくように、これなら反対派地権者も安心するだろうとばかりに、再開発組合が建設費を賄うために売りに出すビル一棟(これを保留床という)をまるごと区庁舎として買いますよ、というのです。これが立石北口地区に移転建替えをする一番の目的なのです。経緯の年表を見るとその後整備計画は庁内で進められたあと区内の諸団体や連合町会長などで構成する「あり方検討委員会」に諮られていますが、その時点ですでに立石駅北口が事実上の優先候補地となっています。 区庁舎整備の検討は最初から立石駅北口ありきで進められていたといっても過言ではありません。

再開発事業は地権者が事業主体となって進める民間の事業です。 民間の事業ならば、採算が合わず、反対者も多くうまくいかないとなれば事業はやめればいいのです。それを行政がやめさせない、何としても推し進める、そのためには巨額の税金を投じてでも支える、というのは、区政として全く間違っています。歪んでいます。

さらにおかしなことがあります。この北口地区への移転建替えに一体どのくらいの整備費用がかかるのか、それも全く不明朗です。区の説明では当初の整備計画発表時の264億円と言うだけですが、立石駅北口再開発計画は、この間に規模が大きく拡大され、総事業費は518億円から今は728億円と1.4倍に増大してい ます。区がつぎ込む区庁舎整備費も拡大しているとみて当然です。

私たちはこの点についても庁舎整備担当課長に質問しました。そこには区庁舎整備費も交通広場の地下駐車場、駐輪場等の建設費も、再開発準備組合の設計等事業の進捗に伴って決まってくると書いてあります。庁舎の整備費のほかにも交通広場の地下駐車場まで区がお金を出す、しかもその金額は今後の事業の進捗による── これではまるで青天井ではないか。加えて区は、新庁舎建設後の維持管理費、修繕積立金等の額も全く決まっていないことを自ら暴露しています。区役所建設にいくらかかるのか、その後の維持管理にいくらかかるのかわからないなどとは本来あり得ないことです。しかし区民にも地権者にも、そして区議会にも一切説明しない。説明しないまま区はこの事業の都市計画決定をかけたのです。これは許されるべきことではありません。

私たちはこんないい加減な区庁舎整備計画に反対です。白紙撤回を求めます。
そして改めて、区庁舎整備をどうするか、改修の道も含めて広く区民に問い、専門家も交えて、時間をかけて検討し作り上げるべき。私たちはそう訴えます。
区民と行政とが本末転倒した葛飾区政を改める時です。これは民主主義のためのたたかいです。
                     以上


           2017年9月13日
           葛飾区庁舎建替え反対実行委員会

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