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2013年03月24日(日) 

「わたしはジュリー。ジュリー・ダンヴァースです」

 その名は彼女にふさわしかった。白いドレスが彼女に似合うように――青い空が彼女に似合い、この丘と九月の風が彼女に似合うように。たぶん彼女は、森のなかの小さな村に住んでいるのだろうが、実はそれはどうでもいいことだった。彼女が未来世界から来たふりをしたいなら、彼のほうでもそれでよいのだった。実際に問題になったのは、彼がはじめて彼女と会ったとき、彼女がどう思ったかということだけだった。

                               (本書P165-166「たんぽぽ娘」より)

 

『年刊SF傑作選2』(ジュディス・メリル編:井上一夫・訳/創元推理文庫)を読みました。

 

 

「たんぽぽ娘」を読みたくて古書を探し求めようやく手に入れた本です。1975/8/8第12版です。「たんぽぽ娘」は素敵な話でした。一目で恋に落ちるということと、変わることなく想い続けるということ。人の心はどちらのかたちも取りうるのだということに改めて思いいたり、だからこそ相手を大切に思う心の貴さを痛切に感じました。

 

「おとといはウサギを見て、きのうは鹿を見て、きょうはあなた」

 

この言葉をしばらくは忘れられそうにありません。 河出書房新社 『たんぽぽ娘(奇想コレクション)』(5月発売予定)を予約注文しました。

 


閲覧数495 カテゴリ コメント0 投稿日時2013/03/24 22:15
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