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2014年04月11日(金) 

『ボックス!』(百田尚樹・著/講談社文庫)を読みました。

 

 ケンカに強いかどうか。もちろんそんなことで人の値打ちは計れはしない。しかし理不尽な力の行使に対しては、それに対処する力、つまりケンカに強いかどうかが重要になり得る。そんな局面は長い人生の中でそう度々あることではない。かといって一度もないかといえば、そんなことはない。一度や二度はだれにでも経験があることだ。つまり世の中には、こちらが望むと望まざるとに拘わらず理不尽な要求をふっかけられ、服従を力によって強要されることがあるということだろう。だからこそ、男は強くありたいと願う。主人公の一人、学年一番の秀才、木樽優紀がボクシングを始めたきっかけはそのようなものだった。

 もう一人の主人公は鏑矢義平。こちらは勉強は苦手だが、運動センスが抜群。天才肌のファイターである。鏑矢がモンスターと呼ばれる強者・稲村に挑んだ試合のクライマックスでは「ウォーッ!」と雄叫びを上げそうになるほど昂ぶってしまいました。伝説の強打者・海老原博幸を彷彿とさせるファイター鏑矢義平に本物の強さを見た思いです。己のパンチの強さに骨が耐えきれず骨折してしまう。たとえ骨折しても戦い続ける魂を持つ者にこそボクシングという競技は相応しい。

 50代半ばのオジサンが今更青春モノに胸を熱くしてどうする、と何度も熱くなる自分を抑えようとしたが抑えきれなかった。感動のリミッターを外されてしまいました。

 優紀と義平、二人の漢(おとこ)を描いた快作である。

 

 

 


閲覧数421 カテゴリ コメント0 投稿日時2014/04/11 21:45
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