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2010年01月20日(水) 
昨今政治とカネに纏わる政権党幹事長○沢氏の問題が、新聞、テレビ、2チャンネル上を賑わしています。

国民の大方の反応は○沢氏は辞任すべきが圧倒的多数です。

しかし、検察の捜査が法律上行き過ぎではないかとの論調がヤメ検弁護士やジャーナリストからブログ等で展開され、検察の捜査が法律の専門家からは疑問視されていることから、あくまで中立的な立場から、政治問題ではなくあくまで身近な法律の問題と捉えて紹介してみます。

この紹介ブログ記事は、昨日19日のもので捜査が進展している段階では法律判断か変わってくることをご容赦ください。

長文です。全部が無理の方はその①のみをご覧下さい。

論点は5つに分かれています。以下専門家からの引用です。
一番専門家が妥当と考えている判断から紹介します。
こらはあなたに身にも降り懸かるかもしれませんよ!

その① 検察の意図

一部メディアでは、検察の意図につき、元検察官の弁護士などが、収賄などでの起訴が難しいことを承知の上で、政治資金規正法の虚偽記載の悪質性を立証するために行っているという分析がでています。
おおむね、私もそのように考えるべきなのだろうと思います。
しかし、これが妥当かと問われれば、妥当性を欠く捜査手法と考えます。
なぜならば、原資の違法性を匂わせるだけで、賄賂の罪での起訴を視野に入れたわけでない捜査であるとすれば、かかる情報のリークは世論誘導のためになされていることが明らかで、刑事手続き上の捜査を超えた不適切な行為だからです。
そもそも捜査情報の提供は、公式の記者会見で行われるべきものです。それを、「関係者の話」という形での捜査情報のリークをすること自体許されるべきでないことに加え、仮に、検察が賄賂の罪での起訴が無理であることを承知の上で、その種の疑惑を誘発する情報を漏らすことはあってはならないことでしょう。
次の事例を考えてみてください(極論がもしれませんが、今回の問題構造を考える上で、面白いと思ったので紹介することにしました)。


あなたが免許不携帯で捕まったとします。
通常は逮捕・勾留なんてありえない犯罪類型なのに、「悪質だ」という理由で逮捕・勾留されました。
免許不携帯の理由は、半年前にインターネットで知り合い、身元を隠して付き合っている不倫相手に会うためでした。
その不倫相手は、会社の金を数億円横領していたことから、すでに捜査機関の事情聴取を受けており、横領の事実を認めていました。
その不倫相手は、あなたと結婚したいと一方的に思っていたので、お金を貢いでいました。しかし、あなたがお金を要求したことは一度もなく、不倫の関係であることも相手は知っていました。
捜査機関は、あなたを免許不携帯で逮捕・勾留したことにつき、「なぜ免許不携帯だったかという事実が同罪の悪質性立証のために必要なものである」と公式に発表しました。
他方で、捜査機関は、あなたの不倫相手の話として、「横領した金をあなたと結婚することを期待してとんでもない額を貢いでいた。」、「これほどの額を貢ぐのは異常だ。」、「結婚詐欺に当たるのではないか。」などと、あなたが詐欺罪を行ったと匂わす情報をマスコミに流したとします。
しかし、あなたは一度も金銭の要求もしたことがなければ、離婚して結婚することの約束もしていませんでした。
翌日、マスコミには、あなたの実名とともに、結婚詐欺疑惑が全国的に報道されました。
さて、あなたはこの捜査機関の情報のリークは妥当だと思いますか?

これは、今最も国民の間に問題になっている政権政党○主党幹事長の政治とカネの問題を検察庁東京地検特捜部が捜査している内容を国民がもっと身近な(こんなケースも一般には身近ではありませんが)問題としてわかり易い内容に変えて、法律の専門家が作って物語です。

○沢さんの問題に置き換えるとこうなります。

今回の○沢氏に対する検察の姿勢を考える上で、より身近な事案(身元を隠して不倫関係を持つことが身近かどうかわかりませんが、献金を受けるよりは想像しやすいのではないでしょうか)に引きなおして考えると、違った印象が出てくるのではないでしょうか。

まず、捜査機関は、○沢氏の事件において、形式犯である政治資金規正法違反の悪質性を理由に、通常ならば、逮捕、勾留などに至らない事案で、逮捕、勾留を行いました。これは、上記事例の免許不携帯という形式犯で、通常ならば、逮捕・勾留はされない犯罪類型として再現しました。

次に、西松などの裏金という違法な金が○沢氏に流れていたという問題を、横領による違法な金が流れていたという点で再現しました。

最後に、○沢氏側の賄賂の罪の成立可能性がない点につき、結婚詐欺の成立可能性がないという形で再現しました。

厳密に考えれば、上記事例と○沢氏の事例との間に齟齬があるかもしれませんが、大まかに考えると、この架空の事案と○沢氏の政治資金規正法の検察の姿勢は非常に似ていると思うわけです。

上記事例であっても、捜査機関の捜査手法が妥当であると果たして考えられるでしょうか。


その②あっせん収賄(刑法197条の4)の成立可能性について

一部で、○沢一郎幹事長に「あっせん収賄が成立するのでは?」という話も聞こえてきました。そこで、まず、この成立可能性について解説します。

結論から言いますと、あっせん収賄の成立は難しいでしょう。

あっせん収賄罪の場合、「報酬」が「あっせん行為をすることに対する対価関係としてなされている必要」があり、一般の賄賂の概念である「公務員の職務に関する不正の報酬」とは異なります。

つまり、お金を出す側が事実上期待しているだけでは駄目で、お金を受け取る公務員の側が、あっせん行為(本件で言えばダムの受注工事の権限を有する公務員に贈賄者の要求を取り次ぐこと)をすることの対価としてお金を受け取らなければなりません。

ここで特に問題となるのが、故意です。つまり、対価性の認識が必要で、これを立証する必要が検察にはありますが、おそらく、○沢氏側にその認識があったとは認定しづらいように思います。

また、あっせん収賄罪の場合、他の公務員に対し、職務上の「不正な行為」または「相当な行為をさせない」ようにすることが要件となっています。

換言すれば、贈賄者の法を曲げる行為の要求を「取り次ぐ」必要があり、そのような働きかけを○沢氏側が受注担当の公務員に行った事実があるという認定もかなり無理があるでしょう。

よって、仮に報道機関が垂れ流している捜査機関の一方的な情報が真実であるとしても、この犯罪の成立はかなり無理があります。たとえば、仮に、○沢氏側の人物が談合の仕切り役であったとしてダム受注に影響力があったとしても、公務員に対する働きかけの事実は一切報道されておらず、あっせん行為の存在が認定できないのでしょう。

以上のことから、あっせん収賄でも有罪は難しいわけです。


その③罪刑法定主義に反する解釈

一部で、賄賂の罪等での起訴ができないから、政治資金規正法違反で徹底した捜査をすることで、検察は社会的正義を貫こうとしており、これは妥当だという主張がされているとききますが、これは刑事法の原則である罪刑法定主義に反する解釈で、非常に危険です。
いかなる行為が犯罪となり、それに対するいかなる刑罰が科させるかにつき、予め法により規定されなければならず、これは憲法31条の要請するところです。
したがって、賄賂の罪に当たる行為がされていないのであれば、その行為は罰せられません。
仮に、検察が、賄賂の罪に当たる行為あるとして起訴できないから、政治資金規正法違反で、行為の悪質性を強調して、賄賂の罪の分も社会的非難にさらして正義を実現しようと本当に信じ込んでいるとすれば、それは非常に恐ろしいことです。
ある行為を罰することが不可能だから、起訴可能な別の軽微な犯罪の方で、悪質性という理由でその分も非難しようというのは、およそ罪刑法定主義が憲法の要請であることを理解した法律家が行うべき解釈ではありません。


その④検察陰謀論の拡大解釈には注意を

一部では、冤罪を主張する人々が、今回の事件と自分の事件を同視して、検察の陰謀論を主張していることを見かけます。
その方々の事件については、現在係争中ですから、有罪だとか無罪だかいう点を議論するつもりはなく、その点についてのコメントは差し控えます。
しかしながら、1つ言えること(むしろ、言うべきことなのかもしれませんが)は、○沢幹事長の政治資金規正法の虚偽記載という今回の事案と、上記の方々が受けている嫌疑とは、犯罪の類型や罪質が異なり、同視すべき事案とは違うと私は思います。
例えば、この問題で検察陰謀論というべき主張をして、自己の事例と同視した批判をしている方として、△木宗男衆院議員がおり、先日の○主党党大会でも、熱く検察批判をしていらっしゃいました。
しかし、△木議員への起訴事実の1つは、あっせん収賄罪であり、これは実質犯です。つまり、保護法益を侵害する犯罪類型であり、免許不携帯や政治資金規正法の虚偽記載のように、法益侵害のない形式犯とは異なる犯罪類型です。
また、証券取引法違反に問われている堀江貴文氏に対する嫌疑も、証券取引法の風説の流布、偽計取引の罪、有価証券報告書虚偽記載が起訴事実において問疑されている罪名です。
この点、確かに、証券取引法違反は、形式犯であると従来からは理解されてきましたが、市場の公正や一般投資家の財産上の利益を害して、不当な財産上の利益を得る悪質な事例が増えたということから、現在では実質犯化していると評価されています。
そのような理解を前提とすると、堀江氏への起訴事実もやはり実質犯の類型ということになり、今回の○沢氏の政治資金規正法違反とは異なる犯罪類型であるといえます。
これに対しては、政治資金規正法が実質犯として理解すべきという主張もありますが、私はこの主張は乱暴な印象を受けます。
なぜならば、一般的に、賄賂の罪のような公務の公正と国民の信頼という保護法益に匹敵する実質的な法益侵害が無いあるとまでは現時点においては言えるのか非常に疑問が残るためです。
一方、金融商品取引法(この前身が証券取引法)違反は、一般的に、市場の公正、一般株主の財産上の利益を犠牲にし、不当な財産上の利益を上げている事例が多いため、実質犯化していると評価することには抵抗を感じません。
(中略)
確かに不実記載があることで、「騙された」と感じる有権者がいたとしても、それは有権者の投票行動の一資料に誤りがあったに過ぎません。
金商法違反は、誠実な一般投資家に対し、"財産上の損失"を与えますから実質犯化しているという評価は法律論として説得力がありますが、政治資金規正法違反は財産上の損失を与えませんし、同法違反における有権者の信頼は、法律上保護されるべき利益にまで高められているとは評価できないと考えるのが多数的見解だと思います。
××新聞の記事は、形式犯と実質犯の違いが保護法益(法律上保護されるに値する利益)侵害の有無であるという点を看過し、不利益の有無を基準としている点で、法律論として説得力がないと私は思います(本来は法律上保護すべき利益にまで高められたという説得ある立論があってしかるべきですが、判例について嘘をつき続ける産経新聞にそれを期待することが間違いなのかもしれません)。
したがって、実質犯と形式犯という明確な違いがあるので、今回の事件を奇貨として、およそ特捜部の取り扱った事件がすべて検察の恣意的捜査だという理解はすべきではないでしょう。
話を陰謀論の問題に戻しますと、陰謀論はおもしろいですが、概して、説得力を欠きます。陰謀論の妄信は時に問題の本質を見誤らせます。
私も今回の○沢氏の事件において、検察の捜査手法に対し批判な意見を述べているわけですが、国策捜査だとか、陰謀だとかとは思いません。
政治資金規正法違反という点を見る限り、虚偽記載は認めているわけですから、有罪の可能性が高く、いわゆる冤罪事件には当たらないことは明白です。
しかし、「ある行為を罰することが不可能だから、起訴可能な別の軽微な犯罪の方で、悪質性という理由でその分も非難しよう」という姿勢が検察官にあるとすれば、それは過剰な必罰主義であり、そこには冤罪を生み出す体質があると言っても過言ではありません。
私は、一連の捜査手法は、こうした理由から妥当性を欠き、自白偏重型の「密室司法」、「人質司法」という実態と相まって、捜査機関の捜査権限の行使に強い疑念を感じているるわけです。
(中略)


その⑤特捜部は水戸黄門ではない

地検特捜部が社会的正義を貫く機関という主張がありますが、これもかなり問題のある発想です。国家権力である以上、この機関の行うことは正義であるという妄信は、人類の歴史上、非常に危険であることは十分立証されているでしょう。
私が特捜部関係で違和感を感じるのは、特捜部をいわゆる水戸黄門に例えて、社会的正義を貫く機関であると紹介することです。
この見解は、特捜部の実態、刑事司法制度のあり方、水戸黄門の本質を理解していないと私は思います。
水戸黄門は、予審判事的な色彩と、事実認定を行う裁判担当の裁判官的色彩が一体となった存在であり、職権調査主義、職権探知主義を徹底した存在です。
簡単に言うと、裁判官たる水戸黄門が犯罪事実の物証を自ら調査し、確たる証拠に基づいて、事実認定をしたうえで、悪人を処罰します。
しかし、特捜部はあくまで現行刑訴法の当事者主義における当事者の一人に過ぎず、事実認定権限もなければ、処罰権限もありません。特捜部の検察官に、「自分は水戸黄門と同じだ」という考えがあるとすれば、それは奢り以外の何物でもなく、人権蹂躙につながる危険な発想と言わざるを得ません。
水戸黄門だって、弥七やお銀、飛猿を使って確たる証拠を確保したり、自らがその現場にいって直接五感の作用で覚知したものを証拠資料として、有罪とすることの十分な心証を得たうえで、「助さん、格さん、懲らしめてあげなさい」という展開になるはずです。
決して、「ある行為を罰することが不可能だから、起訴可能な別の軽微な犯罪の方で、悪質性という理由でその分も非難しよう」という発想はありません。
こういう発想をもった検察機構が自らを水戸黄門と紹介したりすることは、非常におこがましいと私はいつも思ってしまいます。

以上で引用終わります。

最後までお読みいただいた方は居られないと思いますが、
新聞・テレビ報道に惑わされること無く、冷静に捜査の行方を見守りたいと思います。

閲覧数2,591 カテゴリ年金・税金・生活 コメント4 投稿日時2010/01/20 21:43
公開範囲外部公開
コメント(4)
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  • 2010/01/21 01:19
    最後まで拝読しました。安易な「陰謀論」も困ったものですし、情報のリークで読者の劣情を煽るジャーナリズムの体質も困ります。憲法の理念と法律の運用が乖離するのは、困ったものです。とくにテレビの場合は、論理的問題を声で感情的な議論に変えてしまいます。
    あほねんさんの御注告を肝に銘じます。
    次項有
  • 2010/01/21 06:52
    > アイテツさん

    貴重なご意見ありがとうございます。
    最近ネットでも民主系ミニブログが
    炎上しています。
    なにか不穏な空気を感じています。
    次項有
  • 2010/01/21 10:40
      官僚達の権力構造・組織の一つ「検察」の深い意図や狙い・考えを洞察することもなく、民主党は、幼稚でナイーブな対応が、今の混乱を招いています。やはり、政治家は「危機管理」が甘いようですね。小沢氏も「検察内部」に情報を提供してくれる人が居たそうですが、いまやその情報源も機能しなくなり、慌てているようです。

      政治主導で「検察総長も民間に!」という民主党に、あくまで「官僚主体で権力を守る」検察との戦いを、マスコミは、検察リークのみの報道姿勢です。権力に批判力を無くしたマスコミは自殺行為だと言うことに『気づいていません』。
    次項有
  • 2010/01/21 12:25
    > 3ちゃんねるさん

    現場記者は時間に縛られた中でノルマを達成しなければ、批判的な記事を書けば検察に出入り禁止と手足を縛られ現状を変えることはできないようです。

    ニューヨークタイムス東京支局もこの問題に参戦したようですが、英語記事は読めません。

    次項有
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