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2008年03月23日(日) 
14日の金曜、仕事のあと、ふと思い立って“ムンク展”の県立美術館に行ってきた。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_0801/main.html

仕事場の最寄り駅から阪神岩屋駅まで140円。
まるでいなかの終着駅のように見える半地下式の駅。
震災前なら、この時間帯、浜に並ぶ大きな工場の勤め帰りの人たちが夕食や買い物をしたり、ちょっと寄り道する相談とかで、賑わっていたはず。
今はもう、そんな喧噪もない。

駅前に立ち、六甲の山裾から灘浜に坂をトコトコとおりていく。
ほどなく、あかるくライティングされた島文ビルを過ぎるあたりで、歩道は平坦になり、阪神高速神戸線の下、国道43号線を跨いだ。
みちはそのまま、HAT神戸の街区に入り、斜張橋のペデストリアンデッキとなって南につづいている。高層住宅の照明がみえる程度の暗がりの街の中で、木を張り合わせた舗道を歩く音はコツコツとひびき、みちの両脇に埋め込まれた街路灯のオレンジ色がうみの方までつづく。
そして、うみの手前で、開いているのか不安になるほど、ひっそりと佇む県立美術館の2階につながっていた。。

ムンク展は、学生のころだったか、ここが近代美術館という名前で王子公園の下にあったころ、見に行ったような気がする。
そのときは“叫び”もあった。
絵画のことはよく分からない。でも海辺の月明かりの書き方、心のうちを直截にあらわす独特の雰囲気。暗いと云う人もいるけれど、ぼくは嫌いではなかった。

今回はその色遣いに感激した。
“不安”“絶望”“生命のダンス”
“声/夏の夜”“嫉妬、庭園にて”“浜辺の人魚”。
黒、赤、白、緑、青、紫。
ぼく自身、長い間こころを悩ましてきたことがらが、いっとき振り払われた、
そのときの気分が手伝ってのこともしれないけれど、
主張の明瞭さに裏打ちされた、一種の明るさを受け止めてしまった。

そして、展示室のプラズマテレビでは、
ムンクの作品が、ノルウエーのチョコレート工場で生き続けていることを教えてくれた。
社員食堂の、料理の受け渡し口の上部や、食卓を囲む壁に飾られた作品が機能的な部屋の雰囲気にとけ込み、談笑し、行き交う人びとと一緒に写っている。
それが特別の存在であることを誇示するような表示も囲いもない。

いまでもそんな工場があること、
また、それがチョコレート工場だということがイイじゃない。
(ティムバートン、ジョニーデップの映画とは関係ないけど。。)
やっぱり、ヨーロッパはいいな。。

なにより、お客さんが少なくてよかった。
ゆっくりていねいに味わうことができる。
たぶん、作品の数ほどしか入ってなかったと思う。


展示を見終えて、美術館から駅にもどる途中、
暗がりのデッキで振り返ると、
海を跨いで走るハーバーハイウエイの明かりが
ムンクの月の明かり風に尾を引いて、灘浜の海に映っていた。

夜の美術館は良かった。
晩8時までの公開は、金曜と土曜。
展示はこの30日まで。


閲覧数2,311 カテゴリクチコミ情報 コメント8 投稿日時2008/03/23 18:33
公開範囲外部公開
コメント(8)
時系列表示返信表示日付順
  • 2008/03/23 20:08
    綺麗な文章をありがとう。癒されます。
    次項有
  • 2008/03/23 22:20
    「夜の美術館」に誘われて参りました
    ムンク展に行きたいと思っておりましたので
    とても嬉しい拝読になりました。

    ありがとうございます。
    次項有
  • 2008/03/24 10:04
    KITAさん・真珠さん へ

     美術館の課長さんにお聞きしたら、
     休日の午後は、いっぱいだそうです。
     
     あたりまえのことだけど、
     人影を気にせずに、作品と向き合えると、いろいろなことが伝わってきます。

     ムンク本人が“生命のフリーズ”と総称する作品群が、装飾作品として、当初の目的のまま、いろいろな施設にいきづいている。
     そんなノルウエーにも行ってみたくなりました。
    次項有
  • 2008/03/24 15:42
    夜のムンク展ご覧になられてよかったです。
    以前電車から降りて美術館に向かった時の光景が
    浮かび、楽しませていただきました。
    次項有
  • 2008/03/26 00:04
    ご無沙汰しております。
    ムンク展、私も昔、王子公園の近代美術館(原田の森)で見た記憶があります。
    それで、懐かしくて今回も見たいなあと思っていたところ、ONI-TAさんのブログを拝見して、是非とも行きたくなりました。
    夜の静かな美術館。素敵ですね。コツコツと足音が聞こえるようです。
    次項有
  • 2008/03/26 10:16
    オノッチさん へ
     HAT神戸。
     昔は、水色にペインティングされた住友ダンロップの工場群や神鋼の製鋼所がある、煙突のまちだったはずが、震災復興のシンボルとして、住宅と文化・国際交流・防災拠点、商業施設のまちに、大きく変わりました。

    グリーンティさん へ
     “私も昔”⇒うほぉ、、やっぱりそうですよね。。
     あとは“エルンスト展”もその当時、印象が残っています。
     もうちょっとあとのことになるけど、
     南側の駐車場に車を止め、左側に神戸ローンのアンツーカーを見ながら坂を少し登り、近美の白い建物に入る。
    そして、常設の彫刻や大きな一面ガラスの向こうに新宮晋のオブジェを眺めながら、展示室のある2階へと緩やかなスロープを辿っていくと、、、。
    あれはあれで、一つの世界だったような気がします。

     
    次項有
  • 2008/04/01 23:13
    足跡ありがとうございます^^
    ムンク展、わたしも観に行きたいと思いつつなかなか時間が取れずじまいでとうとう終ってしまいました^^;
    結構、隔週の金曜は近くまで出かけているんですけれど、寄る時間が取れなくて残念でしたぁ。

    やっぱり、開催中に観に行けばよかったなぁ。
    次項有
  • 2008/04/01 23:25
    ムンチョバさん へ
     
     次の展覧会は → 「南画って何だ?!」ですって。
     これからの季節は、展覧会を見終わったあと、
     南側の階段でお弁当を開いたり、カフェテリアでのビール、いろいろな楽しみ方がありますよね。
     たのしみです。
                     
    次項有
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