今日は猪名川町農林商工課のご紹介で、現在農業への転職に向けて研修中の猪名川町在住のUさんを取材させていただく。
Uさんは元リース会社社員。在職中から物をつくる仕事、特に農業がしたいと漠然と考えておられたそうだ。しかし小学生の子供さんをはじめご家族のおられる状況で、踏み切れないでおられた。
しかし勤務されていたリース会社の経営が悪化し、夢を実現するため農業への転職を実行に移される。
とは言っても農業への転職は多くの一般市民にとって未知の領域。Uさんも同じで、まずは猪名川町役場へ電話をし、担当者に会うことからスタートされる。
昨年だけで50件近い新規就農の相談を受けたという猪名川町農林商工課。この中で真剣に農業に取り組もうとされている方を見極めるのも大変だとは思うが、Uさんの真剣さが担当者を動かし、また人のご縁で兼業農家の自治会長さん達も応援してくださり、転職への途が開かれる。
まずは専業農家で研修を受けることからスタート。その間の現金収入については農業分野の緊急雇用制度である担い手支援制度が最大12ヵ月間バックアップしてくれる。
また研修終了後の耕作地予定地3反も研修先である農家が用意してくれている。 研修終了後はこの3反の畑で野菜を栽培することを計画されている。
現在は毎日朝6時から8時すぎまで将来の耕作予定地の整備と野菜のテスト栽培。 8時30分頃から研修先の専業農家へ伺い、夕方6時くらいまで農作業。
栽培技術は先生役の専業農家から教えていただきながら、師匠の技を見て覚えていかねばならない。同じようにやっていても専業農家の作る野菜とUさんの作る野菜の味が違う。水の量や肥料の量、水や肥料をあげるタイミングが微妙に違うらしい。 落語の修業と同じような厳しさを乗り越えていかねばならないのだろう。
今日は猪名川町の担当職員も同席してくれましたが、「はじめて希望を伝えてから、とても丁寧に対応してくれた」とUさんもおっしゃるように、就農成功へ向けて一丸となって応援していこうという姿勢が伝わってきた。
まず来年3月末までの研修を乗り切り、3反の土地を耕作する意欲と能力があると判定されて、初めて農家になる手続きを農業委員会を通してすすめていくことになるそうだ。
猪名川町役場でのインタビューの後、研修されている専業農家の農地を道中見ながら、Uさんが農家になった後で耕作する予定になっている畑を案内してもらう。
場所は猪名川町の山奥。途中から道も地道に変わる。強い開拓精神がないと続けていけないだろうと思われる場所。
でも圃場整備の対象地だったらしく、土地そのものは放棄地のようには荒れていないとのことであった。水も畑のすぐ横が小川で、ポンプで給水できるようにされている。 けもの道が縦横に走っていた土地に、獣害予防柵も一人で立てたというUさん。 地域の皆さまとも信頼関係を築かれているようで、道中若手の専業農家の方と、手をあげながらお互いを励まし合うようなアイコンタクト。
「農業で普通の暮らしができたらいい。」 その控えめな答えの中に、秘めた強い決意を感じた。
熱い気持ちと体力、そして夢があればきっと成功する。いや成功してほしいと思います。
猪名川町役場まで送っていただき、一年後の再会を約束して別れる。
一年後にはまっ黒に日焼けされたUさんと、美味しい野菜に会えることを楽しみにしています。
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