他の素材と比べると、粘土は成形において自由度が高く、抵抗感が少ない。 木や石や金属に比べあまり力もいらない。 削ったりくっつけたりも自在にできる。 それが手法として〝陶〟を選んだ理由のかなり大きな部分だ。 私はしんどいこと面倒くさいことが大嫌いなのだ。 ここまでは良いことばかりだね。
さて、制作には手順がある。 私の場合まずろくろをひく。 むろん電気ろくろだ。 モーターで天板を回転するので速度調整も自在だし、回転が安定しているすぐれものだ。 これもまた良いことだね。脚注1 練った粘土をろくろの中心に据える。脚注2 回転レバーを押し、手水をつけ、粘土の塊がまるで生き物のように形を変える。 このとき粘土の表面が溶けてドロドロになる。 このドロドロが潤滑剤になってスムーズな作業ができるわけだ。 だから私の手はドロドロだ。 大きいものになると腕までドロドロだ。 ヌルヌルのベトベトのドロドロなのだ。 !!! 私は手水のタライに手を入れ(冬はお湯が入ってる)、スポンジできれいに泥を洗い落とす。 タオルでていねいに手を拭く。 そして次の粘土の塊を取り、ろくろに据える。 回転レバーを押し、手水をつけ、粘土の塊がまるで生き物のように形を変える。 粘土の表面が溶けてドロドロになる。 私の手はドロドロだ。 腕までドロドロだ。 ヌルヌルのベトベトのドロドロなのだ。 ヌタヌタのベチョベチョのドロドロなのだ。 !!! 私は手水のタライに手を入れ、スポンジできれいに泥を洗い落とす。 タオルでていねいに手を拭く。 そして次の粘土の塊をろくろに据える。 回転レバーを押し、手水をつける。 ドロドロになる。 ヌルヌルのベトベトのドロドロなのだ。 ヌタヌタのベチョベチョのドロドロなのだ。 ヌッチョヌッチョのデロデロのドロドロなのだ。 !!! 手水のタライに手を入れ、スポンジできれいに泥を洗い落とす。 タオルでていねいに手を拭く。 次の粘土の塊をろくろに据える。 回転レバーを押し、ドロドロになる。 ヌルヌルのベトベトのヌタヌタのベチョベチョのヌッチョヌッチョのデロデロリンのド~ロドロなのだ。 !!! 以下同様に何日も何ヶ月もくり返すのだ! きっとシーシュポス(脚注3)だって音をあげるだろう。
そんなわけで私は陶芸が大嫌いなのだ。
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