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2010年09月08日(水) 

土の形-1

 

 

 

ロドロと手洗いのイタチごっこ的悪夢のロクロ作業が一段落する。

陶芸と言えば日がな一日ロクロを回しているみたいに思われているようだが、私のロクロはすぐ終わる。

ロクロ座までの接近の道は百億光年ほども遠いが、ロクロから離れるのは超光速やね。

の場合ロクロはあまり重要ではないのだ。

とはいえ基本的に一品製作なので、まったくうっかり作ってしまっても良いというものでもないが、しっかりした完成イメージに囚われてしまっても良くないね。

たとえば彫刻家が材料の石や木を準備するのと同じくらいの意味合いって言う感じかな。

今まさに現れ来つつあるものが次に為すべきことをアフォードしてくれる。

イメージからは真の開始はできないものだよ。 

~3日すればベトベトの素地が少し乾いてくる。

手にベタつかなくなってからが本来の仕事になるのだ。

ロクロでわりとテキトーに挽かれた素材から〝かたち〟を発見する。

というか、〝かたち〟が生成してくるのを発見するんだね。

知らん人が多いけど、制作とは徹頭徹尾生成の過程なのだよ。

生成の過程に発見がある。

発見の過程にも発見がある。

そやから制作とは生成の発見の過程なんだな。

終わりのない生成と発見の過程なんだ。

成てなんや、て?

それはね、「葦牙(あしかび)の萌えあがるが如く成る」ものと古事記で言っているようなことやと思うよ。

よけいわからへんねぇ。

ま、いいか。

それはともかく

目的的な制作は過程を見落とす (by クロノ)なんやわ。

肝に銘ずべしやね。

んなわけでベタつかなくなった素地の上を私の目と手は遊牧民的なさすらいを始める。

さすらいながらナイフで削ったり粘土をくっつけたりする。

削ったりくっつけたりしながらさらにさすらいをつづける。

このときの粘土はしっとり湿り気を帯びて生気を放ちとても美しい。

一連の作業の中でこの時の粘土はもっとも美しい。

素地の上をさすらう私の目も手も愛に満ちている。

有限の作品の上をこの上ない優しさで永遠にさすらうのだ。




◎用語解説

 

  • afford:アフォード もたらす,与える。 の名詞形affordanceは知覚理論家J・J・ギブソンによる概念。生物が知る世界の「意味」は、神経による情報処理によってつくられるのではなくて、すでに外界の客観的構造として存在している。情報は環境の中に満ちあふれており、生き物はその一部をピックアップしているのだ。これは外界と自己との関係についての基本認識に、根本的な変更を迫るものである。アフォーダンスは、環境をすでに与えられたデータとしてではなく、生きた知覚とのダイナミックな相互作用において考える。

 

 


閲覧数694 カテゴリ★ポロリ・タラリ・ピロリズム  連載中! 投稿日時2010/09/08 22:12
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