素晴らしい論文をありがとうございます。
この知識を頭に詰め込みます。
頭が一杯でなかなか入りませんが・・・
今年の夏は良く蕎麦を食べた。毎日のようにザル蕎麦を食べていたように思います。 正確にはザル蕎麦ではなくモリ蕎麦なのだが、最近はあんまりこの区別がなされていない。ザル蕎麦はまず第一に汁が違うのです。出汁を取るときにカツオの一番出汁のみを使ったものがザル蕎麦なのです。 決して、上に海苔が載っているかどうかではありません。 ザルが出汁にこだわるのは蕎麦は元々は酒のアテとしての役割が大きかったからなんです。その証拠に焼酎の蕎麦湯割りと言うのがあるが、これはそんなに旨い物ではない。 二番だし以下の出汁は酒の味を損ねると思われていたからでしょう。 この出汁に関しては私が自分で蕎麦に凝っていた頃には関東と関西の違いに気が付いたことがあります。 かえしという出汁に加える醤油と味醂の比率が関東と関西では違うのです。 関東ではザル蕎麦の蕎麦を汁にどっぷりと漬けたりはしません。蕎麦の半分か三分の二 くらいしか漬けないので、どうしても濃いめの醤油味になります。ですから、かえしに 醤油を多めにすると関東風になるのです。 逆に、関西では味醂の量を多めにしてかえしを作っておくと(かえしは普通数ヶ月から一年くらい寝かせる)蕎麦をたっぷり漬けてもそんなに塩辛くは感じないものです。 よく、関東と関西では出汁の濃さが話題になりますが、ザルとモリの違いのようにどちらもうまみを追求する事は同じでしょう。 関東が色が濃く感ずるのはかえしの醤油が多いからなんだろうと思います。 さて、汁についてはこのような違いがありますが、蕎麦についてはこれまた微妙な違いもあります。 世界の国々でも蕎麦を使った料理はあります。フランス料理にも蕎麦粉を使ったクレ-プのガレットがありますし、イタリアには蕎麦粉と小麦粉の二八スパゲッティがあるのです。 もっともこれは二が蕎麦粉で、八が小麦粉の様です。 韓国料理の冷麺も現在は蕎麦粉も良いものを使いますが、元々は雑穀を使っていた為に麺としてのばしたり出来ずに(つなぎがない)その為に金属の穴の開いた筒から押し出すようにして、沸騰したお湯の中に落とし入れる様にして作ります。 日本では二八蕎麦といえば、小麦粉が二に対して蕎麦粉が八の割合になり、つなぎの効果がもっとも麺らしくなります。 ただ、この二八蕎麦のいわれについては、江戸時代には屋台の蕎麦が二八で十六文であったことからとの説もあります。 つなぎを極力少なくした蕎麦に十一(といち)蕎麦があります。今年は山形の学友から送っていただいた蕎麦がこの割合でした。つなぎが少ない分、茹でるとポロポロになる嫌いはある物の蕎麦の味がそのまま味わえる絶品でした。 岩手県にはわんこ蕎麦が有名です。これは食べ物が十分で無かった頃はとにかく沢山食べさせる事がおもてなしでしたから、これでもかとばかりに蕎麦を食べさせるのです。 このような習慣は各地にあったようで、日光の強飯はとにかく飯を沢山食べさせる儀式になっています。 これとは反対に、花巻市では「法度蕎麦」というのがありました。これは、蕎麦は贅沢品だから百姓などは食べてはいけないとのお達しがあり、これに反発した住民は蕎麦を切らないで平たいままで茹でて食べ、これは御法度の蕎麦ではないから良いでしょうと開き直ったものです。 私も一度だけ食べたことがありますが、その後は食べていないので廃れてしまったのか、 これも麺にしないのでつなぎがいらないので蕎麦の味が十分出ていたものです。 |