「私とあなたは運命の赤い糸で結ばれている」なんていい方をします。 で、この赤い糸とはどこからきたのでしょうか。運命とは「広辞苑」によると。「人間の意志にかかわらず、身の上にめぐつて来る吉凶禍福とあり、さらには砕いて「巡り合わせ」「将来の成り行き」などとある。 どこにも赤い糸なんて出てこない。特に男女の成り行きについてにいうようだ。 どこからこの言葉が出てきたのか、こういうことを調べるのにはいくら辞書を引いても出てこない。 こういうのはいつも気にしていないと、見逃してしまう。今回もどうも「東京夢華録」にあるらしいと分かった。幸い私はこの本を持っている孟元老という人が書いた宋代の都市の生活について書いてある本です。これは北宋の首都で現在の河北省開封市のことを書いています。何でこんな書を持っていて読んでいたかというと、中国一人旅をしていたときにこの開封市と落陽を見て回りました。その旅の一年前からこの地方に関する本をいつものように読みあさり、それから出かけたのです。 この「東京夢華録」は識者からいわせると、美文ではないし、卑俗なことが多いとあります。 卑俗なことを見てきたいから一人で出かけるので、私にはもってこいの本でした。美文ではなくともどうせ日本語訳ですから、事情が分かれば良しと思っていたのです。 ところが旅に出る前に読むと、自分の行きたいところばかりに気が取られ、この赤い糸については見逃していました。 改めて見直すと(名作について聞かれると今読み返しているところですなんて事ではなく本当に)、ありました。ただし、正確には結婚式の時の儀式について書かれているのです。 婚姻の時にお婿さんとお嫁さんが赤い(といってもピンクか)の絹の紐で結び合わせた杯を 飲むことからのようでした。 この時代が武よりも文芸を好む微宋皇帝の時代でもあることから、結婚式にも小間小間とした決まりがあり、その一つだったようです。どちらかというと、北方民族の決まりが入り込んでいたようです。 それは結婚式に向かう二人が馬の鞍をまたいで式場に入るものです。これは鞍が安産のアンに発音が似ていることからの習慣でしょうから、それにしても、いつ頃から日本で使われるようになったのでしょうか。 |