先日話題になったアヴェ・ヴェルム・コルプスを聴いたついでに、同じモーツアルトのレクイエムも聴いてみました。
クリスマスの曲としてはちょっとふさわしくないのですが。
カラヤンと並んで、カール・ベーム指揮のがあり、そういえばしばらく前、80年代に世の音楽ファンはカラヤン派とベーム派に分かれていたような時期がありましたっけ。
私にはその違いはよくわかりませんが、カラヤンの華やかさに「けれんみ」を感じる人もいたようですね。
一方ベームは音楽家というより、お役人か学校の先生みたいなまじめで面白みのない風貌。ただし、演奏の中身は外見とは関係ありません。
それで驚いたのは、そのテノールにペーター・シュライヤーが出てきたこと。彼は旧東独のマイセンの生まれで、共産主義の東ドイツで活躍した人なので、その人が、オーストリア人指揮のウィーンシンフォニカに出場したことが驚きでした。
演奏時期はシュライヤーの年齢からみて70年代から80年代初め。スポーツ界と同様、音楽も国境やイデオロギーを超えた交流があったのでしょうが、西側に逃亡しないよう、監視の目も厳しかったことでしょう。
このテノール歌手が歌うリートは言葉の一つ一つが非常に明快で澄んでいて分かりやすく、私は彼の「セレナーデ(シューベルト)」、「歌の翼に(メンデルスゾーン)」、「眠りの精(ブラームス)」などでドイツ語を学びました。
ドイツ語クラスの生徒にはゼッタイお勧めです。