先日の日曜日、夜にテレビを点けたら、N響がストラヴィンスキーやワーグナーをやっていた。 ワーグナーは楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲。 まあ、この曲ほど、極めつけというのもないな~ 例のトリスタン和音と無限旋律。 救いの無い悲劇にはふさわしい和声だろう。 オケで聴くのは久々だな~ ヨーロッパ恋愛至上主義文学の原型とも言える「トリスタンとイゾルデ」 時代は変わって、「ペリアスとメリザンド」、「ロメオとジュリエット」なども、原型を同じくする文学だろう。 「白い手のイゾルデ」などは、ユング派の深層心理学の分析例によく引用される。 そもそも「トリスタンとイゾルデ」自体が、ユングの深層心理学の豊かな「狩場」でもあることだし。 アニマ、アニムスの「原型」を見ることができる文学でもある。 憂鬱と喜悦とが交錯するような、絶望と愉悦が渦巻くような、深層心理の茫漠とした姿をそのまま映すかのような、トリスタン和音と無限旋律。 この古典的な前奏曲も、初演時は賛否両論で騒然となったそうだ。 終止することなく、永遠に浮遊し続ける無限旋律。 当時の聴衆は、よほど耳がよかったのだろう。 それはさておき、深層心理の模様を表現するには、音楽は最適だろうと思う。 文章で伝えるのは至難の業だろう。その点、美術と音楽は、うってつけだろうと思う。 現代の深層心理を映す曲を書きたいな~ 書こうかな。 「トリスタンとイゾルデ」前奏曲を聴きながら、そんなことを思った。 |