完走記もいよいよ後半編へ。

シェイカーを手にレストステーションを出発し、
シャカシャカ振ってスペシャルドリンクをつくります。

一口飲んでみると、コーヒー味のミルクセーキのようで
結構おいしいじゃありませんか。
ただ、惜しいことに水がぬるかったため、全体に
生ぬるくなってしまったのが残念。
冷えた水で作ればもっとおいしかったのに。

ここまでトータルでもキロ７分をきるペースで来ています。
１００キロをキロ７分で走りきれば１１時間４０分。
「このペースを維持すれば、目標の１３時間はおろか、
１２時間切れるかも」などとちょっと欲が出てきました。

と、と、ところが。。。。

レストステーションを出てちょっと走ると、
突然、「ウッ」とこみ上げるものが。強烈な吐き気です。
たまらず、道の端に寄って立ち止まります。
草むらに先ほど食べた豚汁を全て吐いてしまいました。

スペシャルドリンクを水代わりにして、うがいをします。
まだムカムカはしていますが、もう吐くものはない模様。
しかし、さすがに走り出す元気が出てきません。

とぼとぼ歩きながら、考えます。
「そうだろうな、ウルトラだもんな。
そう簡単には完走させてくれないよな。」
と、甘いことを考えた自分を激しく反省。

この吐き気、一体何が原因なんだろう。
疲労か、脱水か、あるいは食あたりか。。。。

ただ、いろいろなウルトラマラソンの完走記を読むと、
レース途中に吐き気に襲われるのは結構よくあるので、
「これは大変なことになった」とまでは思いませんでした。

問題は対策をどうするかです。
とりあえずは、吐き気対策のためにウェストポーチに
入れておいた胃薬（Ｈ２ブロッカー）を服用し、
高濃度酸素水「オキシショット」を飲んで、
歩きながら回復を待ちます。

ペースはダダ落ちして、キロ１０分近くにまで落ちました。
むりやり走り出してみますが、吐き気がおさまらず、
とても走り続けられません。

苦しみつつ７０キロを通過。
スタートから８時間１０分が経過しています。

頭の中で必死に計算します。
「１２時間切れるかも、なんて考えた私がバカでした。
ごめんなさい。。。
１３時間を切る、というそもそもの目標だと、
５０キロまでキロ７分、８０キロまでキロ８分で
いいわけだから、８０キロを９時間５０分で
通過すればいいわけか。ということは、
あと１０キロを１時間４０分、１００分でいいわけだ。
おー、キロ１０分でも何とかなるじゃん！」と、
明るい材料が見つかり、気持ちだけは明るくなったものの、
気持ちだけではなかなか走りは復活しません。

しかし、とにかく、足を止めずに前に進みます。
吐き気にも周期があるので、調子のいいときには走り、
また吐き気が襲ってくると歩く、というのを繰り返します。
これでもキロ１０分は十分切れます。
充電を終えたガーミンがペース管理に大活躍しました。

やっとの思いで、第３関門の７３．３キロエイドに到着。
いつもエイドでは、食べ物やかぶり水に真っ先に
目が行くのですが、このときばかりは、
「収容車」とか「リタイア」と書かれたテーブルに
目がいきました。

弱気の虫が騒ぎます。「本当にあと２５キロ以上も
走れるのか？身体を壊しては元も子もないし、
無理せずリタイアするのも勇気ある選択かも？」

しかし、ウルトラマラソンのブログで書かれていた
アドバイスを思い出します。

”関門にひっかかるまで、あるいは収容車に
　強制収容されるまでは、自分からは決して
　リタイアすべきでない。あとで猛烈に後悔する。”

この第３関門で経過時間は８時間４０分。
関門閉鎖は１０時間２０分ですので、
まだ１時間４０分の余裕があります。

「そうだ、まだまだ時間的に余裕ありまくりじゃんか。
何を弱気になってるんだ。」と弱気の虫を振り払い、
吐き気の中でなんとか栄養補給しようと、
フルーツを一口だけ口にします。

スポーツドリンクも、なかなか受けつけませんでしたが、
水分を取らないのは致命的なので、飲めるようになったら
少しずつ飲もうと、ボトルごともらいます。

スポーツドリンクのボトルを持ちながら、
吐き気の中で、歩きと走りを繰り返して進みます。
それでも、だんだん悪い状態の中でも先に進むコツが
何となくわかってきました。
うまくやるとキロ８分を切るペースで進めます。

次の関門は８６．３キロ地点。
あと１０キロもないのですが、本当に遥かな道程でした。