一度立ち止まるともうダメです。 止まった瞬間に、目の前が暗くなってめまいがしました。 両足の筋肉が急速に冷えて硬くなり、動かなくなっていくのがわかります。 サブテンという目標だけをみてここまで頑張ってきたので、 緊張の糸がプツンと切れた感じです。 ふらふらと歩きながらゴールに向かいます。 歩くと、1キロは本当に長いです。多くのランナーに抜かれました。 「あと少し、頑張って」と声をかけてくれるランナーも大勢いました。 私を抜いていった100キロの部のランナーは、おそらく本当に惜しいところ、 あと数分で10時間切りには間に合わないでしょう。 一体彼らは、何を目標に最後まで頑張っているのだろう、 そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いていました。 98.8キロ地点の最後のエイドにたどり着くと、係員が、 「大丈夫?」と声をかけてくれました。 「低血糖だと思います」というと、温かい紅茶とチョコレートを差し出してくれました。 チョコレートは食べられず、紅茶をゆっくりと2杯いただき、 ふたたびゴールに向けて歩き出します。 登り坂も終わり、あとは富士北麓公園のゴールまで下るだけです。 だんだんとゴール地点の喧騒が近づいてきます。 「最後なんだから、走らなきゃ」とも思いますが、脚が動きません。 富士北麓公園の陸上競技場に入っていきます。 アナウンサーがゼッケン番号と名前を高らかに読み上げてくれる中を、 みんな万歳をして、達成感に満ち溢れた顔でゴールしていきます。 そんな中、私はひとり、最後までとぼとぼ歩きで、うつむいてゴール。 もう情けなくて、苦笑いしか出ませんでしたし、ゴールタイムも見ていませんでした。 サブテンを逃した時点で、タイムはどうでもよくなっていました。 ガーミンを止めるのも忘れていました。 後から見たら、30秒以上もたってからストップボタンを押したようです。 きっとそれまで呆然としていたのでしょう。 結局、97キロからの3キロを1時間以上もかけて、 10時間45分33秒でのゴールでした。 |