ポイント練習の間は基本的にジョグを行います。 ジョグというと、「ペースが遅いランニング」と思っている方が いるかもしれませんが、それは違います。 ジョグにはジョグにしかない重要な役割があります。 回数が多いだけに、このジョグ如何で、身体は大きく変わってきます。 ジョグは血行を促進して疲労を抜き、 自分の身体の中の「力」を高めるためのものです。 ポイント練習の後は「あー、疲れた」となるのに対し、 ジョグの後は「疲労が抜けた」状態にならなければいけません。 身体に負荷をかけるポイント練習が「エネルギーアウト」だとすれば、 ジョグは逆に「エネルギーイン」だといえるでしょう。 大事なことは、決して頑張らず、リラックスして力を抜き、 気持ち良く身体をゆすって、「自分の身体と対話する」ことです。 ハアハア息がはずんだりするのはもってのほか。 鼻唄を歌ったり、深呼吸したりできるようでなければいけません。 これこそが「疲労抜きジョグ」の極意だと思います。 そうすると、身体の隅々まで毛細血管が活性化するとともに、 現在疲労していたり、痛んでいたりする筋肉や腱の「声なき声」を 感じることができます。 この「疲労センサー」が活性化することで、 ポイント練習による故障を未然に防止することができるのです。 ハードなポイント練習になってくると、大体、練習後の3~4日は、 身体のどこかに痛みや違和感(あるいはその「芽」)があります。 それがジョグを繰り返すことで、血行が促進され、疲労物質が押し流され、 週末近くには、次のポイント練習に臨める身体になってくるのです。 それでも押し流せない疲労は、専門家のケアを受けることで取り除きます。 とにかく、毎回のポイント練習を万全の状態で行えるようにすることです。 ポイント練習を重ねるたびに疲労が上塗りされるようでは、 本番前に故障してしまいます。 ポイント練習が「食べること」だとすれば、 ジョグは「消化し、血肉とする」ことだと言えます。 「身体はジョグの間に強くなる」のです。 いくら食べても消化されなければ内臓に負担をかけるだけ。 ゆっくりジョグすることは「よく噛むこと」と同じです。 よく噛めば、それだけ消化吸収されやすいのです。 私の場合、ジョグは朝起きてすぐ、朝食前に、 自宅の近くの駒沢公園の林の中に設定した約3キロ強の オリジナルコースを2周走ります。 公園往復の2キロと合わせて計8.5キロです。 これを1時間10~20分かけて走りますので、 概ねキロ8分半から9分半ぐらいの超ゆっくりペースです。 ジョグの途中で筋トレをしたり、トイレに行ったりしますので、 家を出てから戻るまでの総所要時間は1時間45分ほどでしょうか。 ジョグを続けるにつれて、だんだんペースが遅くなり、 いまでは早歩きしている人に抜かれるほどです。 しかし、そのペースで走ろうとしているわけではなく、 結果としてそうなっているだけです。 もちろん体調次第でペースは変わります。 土や落ち葉、芝生の上などの不整地を走るので、膝や腰には優しい一方、 足裏のセンサーが活性化し、足の細かい筋肉も鍛えることができます。 ただ、冬の間はまだ暗いので、気をつけて走らないといけません。 昨年はハンドライトを持って走っていましたが、 今年はハセツネなどの夜間走で慣れてきたせいか、 だんだんライトなしでも走れるようになってきました。 この季節、こたえるのは朝の冷え込みです。 夜明け前の一番気温が低い時間帯なので、手や足がかじかみ、 ひどいときは感覚がなくなるほどです。 そのため、スキー用グローブをしたり、毛糸の帽子をかぶったり、 靴下にカイロを貼ったりして防寒しています。 走っている間にだんだんと夜が明け、地平線から太陽が昇ってくるのは、 とても幻想的な光景です。 |