1,488万kW/1,782万kW (04/26 09:45)
83%
■バックナンバー
■RSSフィード
RSS 1.0 RSS 2.0 Atom 1.0
■このブログのURL
https://hyocom.jp/blog/blog.php?key=251878
2015年04月21日(火) 

2007年05月04日

 「mixiは信頼できるか?」と問いかけると、どのような回答が返ってくるだろう。この設問には「mixiという場の信頼性」と「コミュニケーションする相手の信頼性」というふたつの回答肢が混在している。すでによく知っている仲であれば、相手の信頼性が場によって受ける影響は小さいが、相手のことがまったくわからなくて判断材料がない場合には、場の信頼性がデフォルト値となる。山岸俊男(北海道大学文学部行動システム科学講座教授)はこれを「一般的信頼(general trust)」と呼び、特定の相手についての情報にもとづく「情報依存的信頼(information-based trust)」として、区別して観察することの重要性を説いている。

 「他人を信頼する傾向の強い高信頼者は、簡単に騙されやすいお人好し」だと考えられているが、高信頼者が必ずしも騙されやすい人間ではないことを示す研究は多い(山岸)。対人信頼尺度(ITS)を開発した応用心理学者のジュリアン・ロッター(Julian B. Rotter)は、騙されやすい人は、相手の信頼性が低いという情報が与えられているにもかかわらず、そのような情報に気づかない人で、高信頼者が必ずしも騙されやすいわけではないという。騙されにくい人は、一般的信頼とあわせて情報依存的信頼を利用し、上手に相手を判断しているというわけだ。

 このふたつの信頼は、質的に異なっているわけではなく、信頼を生み出す情報の「範囲」が違っているだけで、揃って個々の判断材料として総合的に使われている。リアル社会では、場を意図的に設計することやコミュニケーション手法を導入することが難しいので、これら信頼の要素は観察手段であることが多い。しかし、SNSでは「場」の設計や運用に活用できる。例えば、一般的信頼の向上のためには、加入者の実在性の確保、後見人など抑止力の存在、オフ会などリアル社会との関係確保が挙げられ、情報依存的信頼を補完するものとして、パーソナルネットワークの可視化、ボンディング(接続)やブリッジ(橋渡し)機能の充実がある。

 ただ本当に大切なのはロッターの示すように、相手を判断する情報を活かすセンス(情報リテラシー)の向上と利用者による適切な情報開示にある。情報依存的信頼は、自分のまわりのネットワークのありさまや振る舞いが総合的に判断されることを念頭において、ブログの執筆やコメント、コミュニティでの活動はもとより、公開プロフィールの充実、トモダチ紹介文の作成、友人のサイトへの招待などに努力する必要があるだろう。

【参考文献】
山岸俊男,『信頼の構造』,(財)東京大学出版会,1998
概要は→ http://www.arc.ritsumei.ac.jp/kachina/books/shinrai.html

閲覧数367 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2015/04/21 10:48
公開範囲外部公開
コメント(2)
時系列表示返信表示日付順
  • 2015/04/21 15:19
    aoitoriさん
    この「信頼性」というのも不確実な部分が多いと感じます。
    フロイトのいう「恋は、相手への誤解から始まる。自分の思い込みを相手に投影することから恋が始まる」ということを思い知ります。
    仕事柄、熱狂的に「先生~!!」と慕ってくれる人ほど、酷い裏切り方をする例によく出会ってきました。
    思い込みが強すぎたのだと思います。
    「信頼性」も自分の好都合を相手に投影しないようにしないと、一瞬にして幻滅にかわりますから。
    客観的に冷静に情報を分析することが大事ですね。
    次項有
  • 2015/04/24 08:39
    > aoitoriさん

    なるほど~、勉強になりました♪
    次項有
  • 次項有コメントを送信
    閉じる
    名前 E-Mail
    URL:
    ※画像に表示されている文字を入力してください。
■プロフィール
こたつねこさん
[一言]
地域を元気にする情報化に貢献したい♪
■この日はどんな日
■最近のファイル
■最近のコメント
■最近の書き込み